in the middle RADIO- Falling Down House Diary#4

text by Kohei Matsuda/満州候補者

ハクビシンが床下で一晩中鳴いてて寝不足の中、書きました。聴いてね。

Track list 
1-0:00 B.A.C.T.E.R.I.A.-jailbird y
2-4:06 Spit From Neon-Neon
3-5:16 Uganda With Sam From Duma-Duma
4-8:02 BΓAINΩ EΞΩ (KOMOΔINA 3)-ΜΠΡΙΤΖΟΛΙΤΣΕΣ
5-10:28 Do Or Die -Discharge
6-12:28 Flower Garden-Vile Cherubs
7-16:39 Comic Strip Man-Tiny Tim
8-20:44 When Do I Get To Sing “My Way”-Sparks
9-25:15 Knet-Mrs. Piss
10-29:13 Jump!! (Or Get Jumped!!!)((by the future))-Soul Glo

1.B.A.C.T.E.R.I.A.-jailbird y

jailbird y-Duality(2022)

なんとなくぶっ飛んだイメージで取っ付き難く思われてるかも知れないけど、音は非常にキャッチ―。キャリアで言えば10年選手でアンダーグラウンド的にはベテランの域に入ると思うけど、現行パンクとかと交えて聴いても不思議な程違和感が無い。割合に今と共時性が高いのかも?

2.Spit From Neon-Neon

Neon-Neon(2019)

Litihics、Warm Bodiesなんかも出してるThrilling Living Records運営?のメンバーも在籍するバンド。かなり変則的でストレンジ。ストレンジっぷりが極まってて出落ち感が無くもない笑。でもそれでもやっちゃうのはこういうジャンルでは良い事なのではないだろうか。

3.Uganda With Sam From Duma-Duma

3.Duma-Duma(2020)

ケニア、ナイロビのグループ。メンバーは他にLust Of A Dying Bree、The Seeds Of Daturadというデスメタルバンドをやってたようだ。出た時にかなり革新的な感じで取り上げられてて自分もそう思ったけど、よくよく聴くと意外なほど系譜がしっかり見えてくるというか――、強いビートで惹き付けるというよりは細かいリズムの全体でノラせる?的な感覚が非常にアフロポップっぽい。今をときめくNyege Nyege Tapesからのリリース。

4.BΓAINΩ EΞΩ (KOMOΔINA 3)-ΜΠΡΙΤΖΟΛΙΤΣΕΣ

ΜΠΡΙΤΖΟΛΙΤΣΕΣ-ΜΠΡΙΤΖΟΛΙΤΣΕΣ(2022)

ΜΠΡΙΤΖΟΛΙΤΣΕΣ、ブリッヅォリツェスと読むらしい。アテネのシンセパンクデュオで加須を拠点にM.A.Z.E.メンバーで運営してるDial Clubからのリリース。デュオとは思えないスゴイいドライブ感。現行バンクというのか、Egg Punkの独特な音像ってどっから来てんのかな?って不思議に思ってたけどJailbird YのアンくんがLumpy周辺にハマってた、と聞いて誤解を恐れずに言えば広義のサイケデリック感のようなもの?を狙ってるのかも?と思った。合ってるかはわからんがそう考えると色々腑に落ちるのである。

5. Do Or Die-Discharge

Discharge – Early Demo’s(2008)

初期パン時代のディスチャージ発掘音源。ボーカルはキャルではなく後のドラムのテズが歌ってるらしい。ロットン度の高いボーカルでこれはこれでかなり良いのではないだろうか。後のサウンドの片鱗もちょっと有る。

6. Flower Garden-Vile Cherubs

Vile Cherubs-
The Man Who Has No Eats Has No Sweats(2007)

Circus Lupas、Young Ginns等々の前身バンド。更に遡るとThe 13Th Hourというバンドになるようでインスピレーション元が分かりやすいが、この時期のD.C.バンド特有のダムド臭もかなりある。

7. Comic Strip Man-Tiny Tim

Tiny Tim-I Love Me(1995)

なんとディスコサウンドが飛び出して驚いた。オールドタイムな楽曲を自分のフィルター通してやるCrampsとかに近い人だと思うけど(ボブ・ディランと仲良くて昔の楽曲の知識はディランも舌を巻くほどだったらしい)時流に乗るのにもそれほどの抵抗は無いんだな、という。といっても95年に70年代っぽいディスコだけど。でもBrave Comboと一緒にアルバム出してるし、最後の曲はEugene Chadbourneプロデュースだし進取の精神を持つ人なのかも。

8.When Do I Get To Sing “My Way”-Sparks

Sparks – Gratuitous Sax & Senseless Violins(1994)

カラックスの「アネット」観て帰りに早速ミーハー買いをした。シアトリカル、というよりはミュージカルを観ているような気持ちにさせる作品。

9.Knet-Mrs. Piss

9.Mrs. Piss-Self​-​Surgery(2020)

カリフォルニア出身のSSW、Chelsea Wolfeも在籍するバンド。ファズ味の強いギターがL7を思い起こさせる。ちょっと単調に聴こえる部分も有るけどこの曲の浮遊感の有るギターソロ?(だと思う、多分)は最高。

10.Jump!! (Or Get Jumped!!!)((by the future))-Soul Glo

Soul Glo-
Diaspora Problems(2022)

以前はちょいエモっぽい?って感じたけど、このアルバムは何々っぽいというより色んなものをぶち込んでアクセル全開でぶっ飛ばす、みたいな感じになってる。ボーカルが超絶技巧では無いだろうか。「Titane」(ジュリア・テュクルノー監督)という映画観た時も思ったけどネットの影響が本格的に出てきた、という気がする。文化表現の基底の部分に食い込んで来た、という意味で。

90年代にハードコア一生懸命追っかけて聴いてたけどその時に求めていた音楽的な驚きのようなものがアクチュアルな形でここには有る、という気がする。