JAPANESE GIRL POP 1962-1966

text by ジミー益子/
イラストレーター・グラフィックデザイナー
Back From The Grave Returns DJ

日本の1962~6年にリリースされた「Girl Groups ~ Beat Girls」的な曲のプレイリストです。基本的に日本語のカヴァー中心ですが何曲かはオリジナル曲もあります。

故黒沢進氏の「日本の60年代ロックのすべて」の「日本のガール・グループ」という項では唯一のグループとしてベニ・シスターズが挙げられていますが、形態としてはまさにそのとおり。当時の日本のポップス・シンガーの数の少なさから考えるとそんなものだと思います。

ソロ・シンガーによるコーラスを付けた一人ガール・グループが最もガール・グループス・サウンドに近いでしょう。モッド系ダンサーのローカル・ヴァージョンとして楽しんでいただければうれしいです。踊るにはオリジナル・スピードだとあまりにも緩いので全体に+2くらい速くしています。

Track list 
1-00:00 涙の二十四時間 / 弘田三枝子
2-02:10 内気な17才 / 中尾ミエ
3-04:06 聞いちゃった 歌っちゃった 泣いちゃった / 伊東ゆかり
4-06:26 テル・ヒム /中尾ミエ
5-08:32 恋はボサノバ / 金井克子
6-10:39 はじめての恋人 /弘田三枝子
7-13:02 ファンキールックのお嬢さん / 伊東アイコ
8-15:08 恋のダウンタウン / 甲山紀代
9-17:48 エイト・デイズ・ア・ウィーク / ザ・キューピッツ
10-20:29 ハロー・プティット・フィーユ / 中尾ミエ
11-22:22 ミスター・ムーンライト / ザ・キューピッツ
12-24:57 かっこいい彼氏 / 弘田三枝子
13-27:08 シャムネコ天使 / 青山ミチ
14-30:42 マイ・ボーイ・ラリポップ / 伊東ゆかり
15-32:32 マイ・ボーイ・ロリホップ / 中尾ミエ
16-34:25 あたしのベビー / 伊東ゆかり
17-37:11 きっとね / 弘田三枝子
18-40:07 ソー・ロング・ベイブ / いしだ・あゆみ

1.涙の二十四時間 / 弘田三枝子

1964年10月発売。元曲はアーサー・アレキサンダー作、スティーヴ・アライモの「Every Day I Have To Cry」ですがジュリー・グラント、ダスティ・スプリングフィールドのヴァージョンがもとになっています。漣健児作詞、鈴木邦彦編曲、宮間利之とニューハードの演奏。スプリングフィールドの歌い方に近いでしょうか。

2.内気な17才 / 中尾ミエ

1963年12月発売。ジ・エセックス「Easier Said Than Done」のカヴァー。星加ルミ子作詞、宮川泰編曲、ブルー・エンゼルの演奏。ギターの音色とピアノがグルーヴィーです。

3.聞いちゃった 歌っちゃった 泣いちゃった / 伊東ゆかり

1964年1月発売。安井かずみ作詞、宮川泰作・編曲、ザ・ヒット・パレ―ダーズ、レオン・サンフォニエットの演奏。ザ・ピーナッツの育ての親ともいえる宮川泰作で園マリ、中尾ミエとの競作盤ですが伊東ゆかりヴァージョンがヴォーカル、バックとも一番洗練されています。宮川泰のセンスに圧倒されます。

4.テル・ヒム /中尾ミエ

1963年6月発売。ジ・エクサイターズ「Tell Him」のカヴァー。池すすむ作詞、森岡賢一郎編曲、ブルー・エンゼルの演奏。リズム感抜群のヴォーカルが素晴らしいです。

5.恋はボサノバ / 金井克子

1963年5月発売。イーディ・ゴーメ「Blame It On The Bossa-Nova」のカヴァー。漣健児作詞、小杉仁三編曲、プリムローズ、エマニアーズ・コンボの演奏。素晴らしいノリのカヴァー。

6.はじめての恋人 /弘田三枝子

1964年12月発売。UKのガール・シンガー、アンディー・シルヴァー「What Do You Do」のカヴァー。漣健児作詞、大西修編曲、コロムビア・オール・スターズの演奏。弘田三枝子ならではのグルーヴィーなヴォーカルが炸裂するナンバー。元曲はB面曲なのでよくこの曲を選んだなと思います。

7.ファンキールックのお嬢さん / 伊東アイコ

1962年9月発売。ボビー・ライデル「Gee, It’s Wonderfull」のカヴァー。水島哲作詞、寺岡真三編曲、ブラック・キャッツ、ビクター・オーケストラの演奏。ファンキーの意味がよくわからない歌詞ですが伊藤アイコのパワフルな歌唱が活きています。

8.恋のダウンタウン / 甲山紀代

1965年4月発売。ペトゥラ・クラーク「Down Town」のカヴァー。タカオ・カンベ作詞、山倉たかし編曲、テイチク・レコーディング・オーケストラの演奏。これもこんな歌詞じゃないんだけどな。

9.エイト・デイズ・ア・ウィーク / ザ・キューピッツ

1965年8月発売。ザ・ビートルズ「Eight Days A Week」のカヴァー。片桐和子作詞、寺岡真三編曲、亀田信夫とスぺイスメンの演奏。基本的にエレキ・コンボの演奏なのがよいです。コーラスも決まっています。

10.ハロー・プティット・フィーユ / 中尾ミエ

1966年11月発売。シェイラ「Hello Petite Fille」のカヴァーです。元はレノン / マッカートニー作でザ・フォアモストが取り上げた「Hello Little girl」。安井かずみ作詞、東海林修編曲、フォー・メイツ、津々美洋とオールスターズ・ワゴンの演奏。素晴らしいヴォーカルです。

11.ミスター・ムーンライト / ザ・キューピッツ

1965年12月発売。元曲はドクター・フィールグッド・アンド・ジ・インターンズの「Mr, Moon Light」ですがザ・ビートルズのカヴァーのほうが有名でしょう。漣健児作詞、寺岡真三編曲、ビクター・オーケストラの演奏。フレッシュなコーラスがとても魅力的なカヴァーです。

12.かっこいい彼氏 / 弘田三枝子

1962年9月発売。コニー・フランシス「Gonna Git That Man」のカヴァー。漣健児作詞、大沢保郎編曲、宮間利之とニューハード・オーケストラの演奏。原曲の軽い洒落たアレンジに対しパンチのあるヴォーカルにパワフルな演奏。

13.シャムネコ天使 / 青山ミチ

1964年4月発売。秋田圭作詞、若山かおる補作詞、中島安敏作・編曲、ポリドール・オーケストラの演奏。なかなかムードのあるオリジナル曲。青山ミチのR&Bフィールのヴォーカルは凄みがあって大好きです。ポリドールは全体に演奏の音量レベルが低くて残念。

14.マイ・ボーイ・ラリポップ / 伊東ゆかり

1964年9月発売。ミリー・スモール「My Boy Lollipop」のカヴァー。安井かずみ作詞、東海林修編曲、キング・オール・スターズの演奏。伊東ゆかりのヴォーカルの魅力が発揮されたナイス・カヴァー。

15.マイ・ボーイ・ロリホップ / 中尾ミエ

1964年9月発売。安井かずみ作詞、宮川泰編曲、ザ・ブルー・エンゼルの演奏。伊東ゆかりがカヴァーしていた「Lollipop」をイントロに使ったアレンジが素晴らしいです。後半のジャジーなヴォーカルの崩し方がたまりません。

16.あたしのベビー / 伊東ゆかり

1964年1月発売。ロネッツ「Be My Baby」のカヴァー。弘田三枝子のカヴァーも有名ですがこのイントロのほうが新鮮に聴こえます。ロネッツ・ヴァージョンをあまりイメージさせないカヴァーですがそれなりに魅力的です。漣健児作詞、東海林修編曲、レオン・オールスターズの演奏。

17.きっとね / 弘田三枝子

1964年8月発売。安井かずみ作詞、宮川泰作・編曲、東芝オール・スターズの演奏。オリジナル曲ですが日本の歌謡曲を感じさせずスワンプ・ポップを思わせるようなR&Bフィールのジャジーなアレンジがたまりません。

18.ソー・ロング・ベイブ / いしだ・あゆみ

1966年4月発売。ナンシー・シナトラ「So Long Babe」のカヴァー。室生恵作詞、川口真編曲、ビクター・オーケストラの演奏。クールないしだ・あゆみの歌声が原曲のイメージにぴったりだと思います。