in the middle RADIO- Falling Down House Diary#6

text by Kohei Matsuda/満州候補者

カビだらけの部屋で怪物くんに出てくるカビラみたいになりながら書きました。

Track list 
1-0:00 Kaia-Bill Laswell
2-12:59 Nhama-DJ Nigga Fox
3-16:30 Entract-Nord
4-19:26 Solve For X- X-ecutioners
5-21:55 Disobey Ends -Genocide Organ
6-26:55 Oulad Mousa-Abdeljalil Kodssi
7-33:55 Street Feeling-Richard Youngs

1.Kaia – Bill Laswell

Bill Laswell-City Of Light(1997)

ラズウェル、あんま好きじゃないんだよね~、という人達がまわりに結構いて、なんとなく薄っぺらいとか、トレンドセッター的な振るまいが鼻につく、とか理由は色々想像出来る。そしてその理由は概ね当たってると思うけど笑、俺は逆にそこが結構好きというのが有る。

で、この過去作を改めてしっかり聴いてみるとトレンド的な所はもはや時代を感じるし、エスニック要素も実際、薄っぺらいかな?笑。

でもこれは紛う事なき名盤で有る、とも言える。色んなジャンルに手を出すけど基本的にはカンタベリー・レコメン系統の人達と似てる実験性みたいなのが有る人で、そのイディオムに則って作ると名盤が生まれるのではないだろうか。

他ジャンルに接する時もアイデンティティをそこに求める訳ではなくて、むしろ自己のアイデンティティを消す為にそういうものに向かってるような節も感じるような。だから薄っぺらくても良いんじゃないかな、本人的には。そんな理由だったらいい理由だね、と俺も感じるし笑。

関わってるものに歴史的名盤もかなり有るし、そういう視点でラズウェル関連を聴いてみても面白いのではないでしょうか。ちなみにこれはアンビエントエスノダブみたいな音楽性でラズウェルも一番乗ってた時期のソロ。

2.Nhama-DJ Nigga Fox

DJ Nigga Fox-Cartas Na Manga(2019)

アンゴラ生まれで現在はリスボン在住。クドゥーロ(アンゴラ発のエレクトロミュージック)、アフロハウスに影響を受けてるとの事。変拍子とポリリズムの合わせ技で非常に洗練されたリズム。

3.Entract-Nord

Nord–Nord(1981)

80年代から活動する片山智、及川洋によるノイズユニット(その後、同名義で別々に活動)。ジャケットはノイズっぽいデスイメージだけど、片山氏のインタビューとか読むとジャケのアイデアは及川氏のアイデアで、片山氏の方はそういうイメージ嫌ってたらしい。

この手のはやっぱりトータルイメージで陰惨な印象のものが多いけど、どこかファニーな感じが有るのは片山氏のおかげなんだろう。最近のデスクトップ上で作るハーシュノイズ系より立体的な感じが有るのは製作方法に起因してるのかな。

4.Solve For X- X-ecutioners

X-ecutioners-X-Pressions(1997)

ターンテーブリスト集団の97年発のクラシック。元々はX-Menという名前で商標登録問題で改名したらしい(そりゃそうだ)。ヒップホップってアメコミ系の名前多いけどなんか親和性有るのだろうか。X-Menは差別がテーマだからわかるけど。音の方はオーソドックスだけど非常にレベル高い感じ。

5.Disobey Ends -Genocide Organ

Genocide Organ- : In-Konflikt :(2004)

パワエレ代表的グループの作品。ここら辺の人達は結構露骨に極右のイメージ匂わせてくる人いるけど、ネットによってそういう「秘匿された」イメージが無くなって陳腐化したと言える現在、どういう受容を望んでるのだろうか。モダニズムへの対抗手段がニヒリズムなら「タブー」を纏うのは理解できるけどMissing FoundationとかSPKみたいに新左翼的な方向性にいかない、と言うことはつまりそういう事なのだろう。インセル、Qアノン辺りとそう違わない世界観でモダニズムに真に対抗できるのか?と思わざるを得ないけど、困ったことに音はメチャクチャかっこいい。

6.Oulad Mousa-Abdeljalil Kodssi

Abdeljalil Kodssi – Oulad Fulani Ganga(2006)

モロッコ、マラケシュ生まれグナワ族のミュージシャン。アフリカ北部らしくカッワーリや地中海文化的な香りもする、非常にモダンで洗練されたサウンド。Tchiss Lopesなんかはカーヴォベルデの持つ特殊性ゆえにちょっと根なし草的なものが垣間見えたけど、こちらは中東文化というか強固な文化圏が根っこに有るからか、バラエティ豊かなサウンドなんだけど非常に根を張った雰囲気。ブルース解釈をしたとおぼしき曲が有るけどこれがSlintとかのどよんとしたオルタナと感覚が似ててあそこら辺も一種のブルース解釈なんだ、というのがわかった。

7.Street Feeling-Richard Youngs

Richard Youngs-Iker(2021)

ミニマルなアコギにフィールドレコーディング?による具体音や奇妙なシンセ?が重なるというJohn Faheyスタイル。非常にストイックでトレンドに目配せした感じは全然無い。