in the middle RADIO- Falling Down House Diary#2

text by Kohei Matsuda/満州候補者

あばら家から送り届けする音楽日記。新譜/旧譜が織り交ざっていますが、2月に買った国内外の音源のプレイリストと感想を載せてます。

Track list 
1-0:00 Soloist Anti Pop Totalization – Satelite orbit (part I) 
2-3:14 Ajak Kwai – All My Wives From
3-6:52 Sagosaid – Stay Up Late From
4-11:08 Captain Beefheart – Save As Milk (Take12)
5-16:04 Gil Mellé –Jog Falls Spinning Song From
6-21:58 The Feelies– Slipping (Into Something)
7-27:57 The Drones – Sorted
8-31:16 The Holy Modal Rounders-My Mind Capsized
9-34:01 Vince;nt – Ax/Ex
10-37:40 Andrew Hill – Poinsettia
11-44:03 Nicfit-Deviation
12-47:07 Soloist Anti Pop Totalization – Satellite Orbit (part II)

1-Soloist Anti Pop Totalization – Satelite Orbit (part I) 

SYNTH IN JAPAN Soloist Anti Pop Totalization + Jin Cromanyon(2022)

エレクトロ度がなんだかアップして曲によっては初期のデトロイトテクノみたいな感触も。エクスペリメンタルな部分が昇華されて表現に生かされてる。S.A.P.T.史上最高傑作では?

2-Ajak Kwai-All My Wives From

Ajak Kwai-Come Together(2017)

南スーダンのシンガーソングライター。内戦の影響で現在はオーストラリアに移住。結構、ファンキーなロックって感じ。(オーストラリア在住だけど)アフリカンポップスって意外とロックっぽいのあるよね。

3-Sagosaid-Stay Up Late

Sagosaid Reimei(2021)

ボーカルのSAGO氏が西調布でスタジオReimeiを運営している。USオルタナ的なサウンドと勝手に思ってたがUKシューゲイザー的な音で少し驚いた。ボーカルラインがすっと入ってきてキャッチー。

4-Captain Beefheart-Save As Milk (Take12)

Captain Beefheart & His Magic Band–The Mirror Man Sessions(1999)

本来ならセカンドアルバム用に録音されたものらしいけど、アルバムとして発売される事は無かった。セカンドアルバム成立に非常にややこしい経緯が有る模様でその関係で色々セッション音源があるようだ。音の方は”TroutMask Replica”に至るまでの片鱗のようなものが確かに有る。この人の興味の焦点にリズムが中心に有ったのは間違い無さそうだけど、ブルースを通してジャズを解釈しようとしたのかしら?相変わらず謎多き人。ちなみにこの曲は他のアルバムにも入ってるけどテイク違い?録音時期違うのかな?よくわからない。

5-Gil Mellé-Jog Falls Spinning Song

Gil Mellé – Tome VI(1968)

68年の作品。最初に電子楽器を持ち込んだジャズのアルバムと言われてる。Geroge RussellのElectric Sonataより先なのだろうか?などと思いつつも独特な浮遊感の有るサウンド。Tomeという自作の電子楽器使ってるらしいがどんなんだ?と探してもよくわからない。YouTubeにこの後の”TheAndromeda Strain”製作時?の映像っぽい怪しげな自作楽器と思われるものを演奏しているけどそれなのかな?電化ジャズって言ってもマイルス的なものでは全然なくてかなりアブストラクトな音響のもの。おそらくミュージックコンクレートを初めとした当時の電子音楽をかなり意識してるのだろう、と推測。他にも面白い作品残してて、Gil Mellé自身の経歴もなかなか面白い。

6-The Feelies-Slipping (Into Something)

The Feelies – The Good Earth(1986)

尖りまくったAnton Fierが抜けてのセカンド(それでもちょっと捻くれてる)。メロディが前面に出てきて安定安心の出来。ファースト路線で何枚も出せないだろうし、この方向転換は資質にも沿っているのではないだろうか、というか後のアルバムでその事が証明されるのだが。

7-The Drones-Sorted

The Drones – Sorted(1997)

ボックスセットの一枚。セカンドの”Ditrty Bastards”のボックスセットバージョン?ぽい(曲順が違う)。ファーストからだいぶ間が空いた再結成後のアルバムだけどちゃんと連続性を感じる素晴らしい出来。ファーストってなんかすごい未来的に聴こえたけど、このセカンドは割合オーソドックスに聴こえるのは時代が追い付いたからか?

8-The Holy Modal Rounders-My Mind Capsized

The Holy Modal Rounders –
The Moray Eels Eat The Holy Modal Rounders(1968)

ESPからも出してるサイケフォーク。想像通りFugsとかGodz的な異形サイケ。イージーライダーにも使われている曲入り。アルバムタイトルもかなりふざけてるし、本気か冗談か判らない歌詞を歌ってそう、と思ってちょっと調べてみたらほとんどブッ飛んでる時の歌だった笑

9-Vince;nt-Ax/Ex

Vince;nt-Resurrection : Ax/Ex (2021)


こちらも調布でReimeiを運営してるシンマ氏のバンド。これはカッコいい。轟音バンドだけどマッチョ感とか変にイキった感じが全く無いのが良い。空間的に広がりの有る音像がインテレクチュアルな印象を与えてる。俺だけが好きシリーズのMind Over Matterを思い出した。

10-Andrew Hill-Poinsettia

Andrew Hill – One For One(1975)

Wikiによると「1965年、1969年、1970年に録音され、1975年に2枚組LPとしてブルーノートから発売されたアンドリュー・ヒルの未発表スタジオ録音曲を集めたコンピレーションアルバム」とのこと。Side2の曲にはストリングスが入っていてこれぞサードストリームという感じ。特にこの曲が素晴らしい。この方向性って今こそ見直されるべきでは?

11-NicFit-Deviation

NicFit-Fuse(2022)

ポストパンクって言葉使い過ぎ問題をなんとなく感じる昨今、NicFitのアルバムには俺はむしろグラム、もっと言えばミック・ロンソンを感じた。というかグラムのギタリストってそれ位しか知らんだけだが。ギターの音もちょっとファズっぽいし。ポストパンクと言われるのは色々鑑みて言われるだろうな、って感じだけど『ポスト』パンクで『ポストパンク』作品を作ってもしょうがないのではないだろうか?よくよく聴くとロックヒストリー全部入りみたいな作品で、そういう歴史に対しての反発とか無い感じがUSパンクっぽい。