Talkin’ About 7inch Vinyls Vol.2

text by Hajime Murakami
Mule Team,Flower Zombies

定期的に書くのが目標だったので、前回Vol.1とつけたんですが…やっとVol.2です。書きたいことはたくさんあるつもりなんですが、文章にするのは難しいですね…

1.誰が悪魔を憐れんで、誰がチャーリーを殺したのか?

うだるような暑さが続く中、去年の夏を思い出した。それはその頃探していて出会えなかった7inchレコードに、最近出会えたからだと思う。The Rolling Stonesの「悪魔を憐れむ歌」(1968)の事だ。そうチャーリー・ワッツが亡くなって1年。その頃の事を色々思い出したんです。

The Rolling Stones – Sympathy For The Devil(1968)

僕自身ストーンズ好きはよく言ってるんですが、別にマニアではないのでフツーの事を平気で書きますんで、その辺はご勘弁を。この「悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)」はストーンズの大名盤「Beggars Banquet」の冒頭を飾る有名曲ですが、当初本国イギリスやアメリカではシングルカットされていなかったとの事。

歌詞の問題とかいろいろあったと思うのですが。でも日本では当時からシングル盤になっていて、それがちょっと貴重盤というか。やっぱシングルで聴きたくなるよねって話です。

The Rolling Stones – Beggars Banquet(1968)

去年の夏に話を戻すと、僕としては、その前にしていた堅めの仕事を辞めてダラダラしていたら世の中コロナが蔓延し、仕事しなきゃヤバいけど今更スーツも満員電車も勘弁だぜ…という流れで何とか選んで(選ばれて)働きだした会社での初めての夏。

多分訳あって色々イライラしていたし、その頃何故かハイドパークの映像を観まくっていた影響もあったと思います。家で朝からビールを煽りながらベガーズかけて汗だくでSympathy For The Devilで踊りまくり…

The Rolling Stones – The Stones In The Park(1983)

そういうしょーもない事を繰り返していた矢先、チャーリー・ワッツが亡くなりました。関係あるはずもないのに、その時は僕が悪魔に魂を売ったからだと思ってしまった。毎朝悪魔を憐れんでいたから…頭がおかしいけれど、チャーリーを殺したのは誰なんだ?僕なのか?って。

まぁそれは酒や暑さだったり、仕事が嫌だったりの中でぼんやりしていた頭での妄想なんですが、そんな妄想をテーマに自分のバンドで曲を作ってレコーディングなどしていたら、冒頭の通りたまたま国内盤「悪魔を憐れむ歌」7inchをゲットできました。やっぱり悪魔っているんだなーと思いながら…もうすぐ今年の夏は終わるんでしょうか?夏が来るたびにチャーリーとこの7inchのことを思い出しますね、きっと。

2.I’m Your Witch Doctor~悪魔とか呪いとかいう繋がりで

「悪魔を憐れむ歌」7inchを買えたのもそうなんですが、今の職場のレコード屋環境(って何?)が良すぎて困ってます(出費面で…)。お陰で長らく欲しかったレコードで買えたものもありまして、その内の1枚がJohn Mayall And The Bluesbreakers「 I’m Your Witchdoctor」(1965)。

John Mayall And The Bluesbreakers – I’m Your Witchdoctor(1965)

この曲はニュージーランドのChants R&B(プリティズ影響下のR&Bパンクで最高!)のカバーで知り、ずっと欲しかったやつ。他にはThemやMotorheadもカバーしてますね。

Chants R&B – Chants R&B(2008)

John Mayallバージョンについては、それまでは500円位で買った当初日本発売のコンピLPでずっと我慢してました。まぁそんなコンピLPが当時日本で出ていた事自体、僕にとっては驚きですが。しかもこの曲が1曲目だし。

クレジット的にはギターがエリック・クラプトンでプロデュースがジミー・ペイジ。多分クラプトンがThe Yardbirds辞めて、ジミー・ペイジはまだ入る前ですよね。以前The Train Kept A-Rollin’の話でも書いた通りThe Yardbirdsは好きなんですが、出身ギタリストたちのその後にはそこまで興味が…

なのでクラプトンは割と興味薄なのですが、クラプトン在籍時のThe Bluesbreakersは昔から好きで。この曲は何でアルバムに入っていないのか…フリーキー過ぎたんでしょうか。Bo Diddleyライクなジャングル・ビートに哀愁ボーカル、ブルース・ロックというよりやはりガレージ・パンク。ギターもカッコいいけど、ジョン・メイオール自身のオルガンのカッコよさもポイントだと思います。

3.Train In Sane、Train In Vain、そしてThe Mystery Train

福岡のスーパーパンクバンドThe Practiceが今春リリースした7inch「Platform/Trian In Sain」を聴いて思った色々。タイミング的にはちょっと時間が経ってしまったんですが。

The Practice – Platform/Train In Sane(2022)

そのルーツを辿ることが自分の音楽性の土台になったという意味で、The Clashは僕にとって非常に重要なバンドの1つ。というような話はin the middleでも以前書かせてもらったんですが、The Practiceは僕にとってそういう文脈の中にあるバンド。

B面の「Trian In Sain」、The Clashの「Train In Vain」に引っ掛けたのは明らかですが、やっぱり上手いなー曲調も「London Calling」に入ってそうな雰囲気満載で、がっつり心掴まれました。A面の「Platform」はもっとアッパー且つシンガロングでOi/スキンズを感じさせる曲調なのですが、A/B両面イギリスっぽさで統一されているところは流石としか言いようがないです。

で、この7inchがきっかけでやはりThe Clash「London Calling」をよく聴き直しました。そしてたまたま同時期に、遅ればせながら映画を観た流れでThe Bandも色々聴いてたんですが、気づいてしまいましたね。

The Clash – London Calling(1979)

「Train In Vain」って「The Mystery Train」のThe Bandバージョンがヒントになってるんじゃないかなーと。「The Mystery Train」は勿論エルヴィスで有名な。厳密にはジュニア・パーカーが元みたいですね。

Elvis Presley – Mystery Train(1955)

The Bandバージョンはカバー・アルバム「Moondog Matinee」収録です。エルヴィスのロカビリー・バージョンは勿論かっこいいんですが、The Bandはちょっとファンキーに跳ねるリズムでやってまして、あれ?これ「Train In Vain」の元ネタなのでは?と思った次第。どのライブ音源だったか、ライブ・バージョンはもっと「Train In Vain」を彷彿させる感じでした。

The Band – Moondog Matinee(1973)

皆さんご存じの通り「London Calling」のジャケがエルヴィスのオマージュだったり、Train繋がりだったりで、色々辻褄会うのでは?と勝手に納得したのでした。これってみんな普通に思ってた事ですかね?個人的には発見した気分で書いてますが、The PracticeとThe ClashとThe BandとElvis Presleyがぶわーっと一気に繋がって気持ちよかったって話です。

Elvis Presley – Elvis Presley(1956)

そういえば、エルヴィスの映画終わる前に観とかなきゃ…